朝から怪談(わらプレvol.187)
おはようございます、桑山です。
「怪談えほんに応募した話が読みたい」というご要望が4人しかいなくて絶妙だ、という話を昨日書いたら、早速追加で1人いらっしゃいました(笑)
と、いうことでギリギリ5人になりましたので、朝から怪談(小学校低学年向け)をお送りします(笑)
応募時は、小学校低学年向けということだったので、ほぼ平仮名で書いていたのですが、やはり大人にとってはかなり読みにくいので、漢字表記に直しました。
小学生向けなので、イマイチ怖くない
朝から気持ち悪い
など、様々なご意見があると思いますが、少なくとも朝一番の活気に溢れ、元気になる話ではないので、ご了承下さい(笑)
それではどうぞ。
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『サッカーが上手くなる方法』 桑山 元
「なぁ、サッカーボールって、なんで白と黒か 知ってるか?」
タツヤ君が僕に 聞いてきた。
タツヤ君は サッカーが凄く上手い。
だからきっと、色んな事を 知ってるんだ。
「知らない。教えて」
そのヒミツがわかれば、きっとタツヤ君みたいに 上手くなれるんだ。
タツヤ君はニヤっと 笑った。
そして、僕の耳元でそっと言った。
「あれは葬式の色なんだよ」
「え?」
僕は意味がわからなかった。
タツヤ君は教えてくれた。
サッカーは元々、戦争で死んだ敵の首を蹴ったのが始まりなんだって。
だからサッカーボールは葬式の色だって。
「そんなの、嘘だ」
僕は泣きそうになりながら言った。
タツヤ君はもっと小さな声で言った。
「これがわかると、サッカーが上手くなるぞ」
僕はゴクッと唾を飲み込んだ。
怖いのは嫌だけど、サッカーは上手くなりたい。
「ボールの声を聞け」とか「ボールは友達」って言うだろ?
実はな、今でもボールの中には死んだ人の頭が入ってるんだぜ。
サッカーの時はボールの中の死んだ人に話しかけるんだ。
そうすると、ボールの人が友達だと思って足にしがみついてくるんだ。
だから、俺はドリブルが上手いってわけ。
その日の帰り道。
タツヤ君は、ダンプに轢かれて死んでしまった。
身体がぐちゃぐちゃになって、首がちぎれて、頭が道の横に転がってたんだって。
次の日、学校に新品のボールが来た。
サッカーの時、僕はタツヤ君の話を思い出しちゃった。
「そうだよ。俺だよ」
ボールの中から、声が聞こえた。
ボールが足にしがみついてきた。
「ドリブル、上手いなぁ?」
みんな、ビックリしていた。
「ボールは楽しいぞ。お前もボールになれよ」
ボールの中からタツヤ君が話しかけてくる。
「今日の帰り道、待ってるからな」
ねぇねぇ、幼稚園で仲良しの子、いた?
最近会ってない子っている?
今度サッカーボールを蹴る時に、その子を思い出して話しかけてごらんよ。
もしかしたら、返事をしてくれるかもしれないよ。
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明日はこれを書いた時の話をしたいと思います。
・最初はどんな話を書いたのか?
・子どもは何に怖がるんだろうと悩んだ話
・この話が絶対、大賞を獲れない理由
・それどころか一次予選も突破できないと思っていた話
など。
お楽しみに♪