民話の語りべの不思議な力(わらプレvol.221.5)
おはようございます、桑山@家族旅行を早退中です。
土曜日の夕方(土曜日の授業参観後)から、
岩手県の大船渡に2泊3日の家族旅行に行ってきました。
授業参観が終わって、
すぐに荷物をもって電車に乗り、新幹線で一ノ関へ。
そこからレンタカーで大船渡の旅館へ移動。
予定では20:00くらいの到着予定でしたが、
運よく1時間前の新幹線に乗せたので、
19:00くらいに到着することが出来ました。
そして、今日は4:00に起きて、僕だけ離脱。
一ノ関駅から東京駅まで戻り、
東京駅からはザ・ニュースペーパーの
メンバーと合流し名古屋へ向かいます。
そんな弾丸スケジュールだったので、
遊べたのは実質的に昨日1日だけ。
さて、その1日に何をしようか?
そういう話に当然なるわけです。
民話好きで、オカルト好き、
さらに「伝える技術研究家」の僕としては、
少し足をのばしても遠野に行きたい。
狙いはもちろん遠野物語の世界観。
そして民話の語りべです。
一方、息子コジローと妻は盛岡に行き、
わんこそばと冷麺を食べたい。
……2人とも少食なのに。
いつもの如く、僕に決定権はありません。
なので遠野に行くのは正直、諦めていました。
すると「遠野で河童釣り」というイベントに
コジローが急に食いつき、
僕の積年の憧れであった遠野に行けました。
遠野物語の世界観を感じることも楽しみでしたが
一番の楽しみは民話の語りべ。
特に下調べせずに出かけたので、
到着すると既に語りは始まって15分ほど経過。
一つ目の話がそろそろ終わる頃でした。
もう終わりかと思っていたら2つ目の話に。
ラッキー!!
やはり岩手の方言バリバリで語られる民話は
【正直、何を言っているのかはわからない】
ただ、断片を聞き取って想像するしかない。
あとで聞いてみると、コジローは
「全然、意味が分かんない」
という状態だったそうです。
妻にしても、
川の上流からお椀が流れてくるシーンで
「川の上流から、わんこさ、流れできたど。
したら、嫁っこさ、どうしてもそのわんこさ、
欲しくなったで、そのわんこさ、
拾ってかえっだど。
そのわんこを、米をはがるのに
つがっていだら……」
(すみません。方言は適当です)
と語られていたのを聞いて、川の上流から
犬(ワンコ)が流されてきたと思ったらしいです。
頭の中は「子猫物語」のチャトラン状態……。
20人ちょっとが聞いていたのですが、
誰一人飽きたり、集中力が切れている感じは
ありませんでした。
小学生も、うちの子を含めて4人ほどいたのに、
です。
話は「嫁の大きすぎる屁が役立った」話と、
「米が増える椀を拾って姑に褒められた」話。
どちらもどこかで聞いたことがあるような
素朴なお話です。
方言が分からないのですが、雰囲気から
語りべのおばあちゃんが「間違えた」り、
「言い直した(噛んだ)」りするところも
ありました。
古民家の囲炉裏のある部屋で語られる民話。
素朴な方言でトツトツと語られる民話。
語りべのおばあちゃんも農作業着の格好で、
ずっとそこで暮らしているかのような
たたずまい。
それを見た時に思いました。
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「場の空気って、内容よりも説得力を持つ」
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語弊を恐れずに敢えて言います。
語りべのおばあちゃんは、
・別にきちんとした発声をしていたわけでもない
・滑舌がよく、言葉が明瞭に聞こえるわけでもない
・方言がきつくて、何を話しているのもわからない
・話の内容は他愛のないもの
でした。
しかし、みんな集中して聞いていました。
これは落語でも体験したことがあります。
古典落語などは既に話の内容を知っていたりします。
加えて、アナウンサーのようなハキハキと
歯切れのいい喋り方をする落語家さんばかりでは
ありません。
むしろ「滑舌」だけをとれば、
名人ほど聞き取りにくかったりすることも
多いほど。
でも、それが「味」になっていたりします。
立川談志師匠の噺を聞いた方が
「最初にお辞儀をして顔をあげた後に、
ニッって笑うんだよ。
その瞬間に、この人凄ぇなと震えた」
と話しているのを聞いたことがあります。
談志師匠、まだ一言も話してないんですよ?
つまり【場の空気を作ったヤツが勝つ】
ま、別に勝ち負けの話じゃないんですが、
・場の空気を作れれば主導権を握れる
・場の雰囲気に飲まれれば、主導権を握られる
ということが言えるのではないかと思います。
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「どうやれば『場の空気』を掌握できるのか?」
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この誠に日本的で曖昧模糊(あいまいもこ)と
している『場』や『空気』についても、
これから折に触れて考察してみたいと思います。