手術レポート&緊張緩和テクニックの検証(わらプレvol.148)
麻酔から完全復活の桑山です。
果たして「人前で話す緊張を緩和するノウハウは手術前の緊張にも通用するのか?」
結論から言いましょう。
検証不能でした!!!(笑)
では、順を追って話しましょう。
桑山はとても緊張していた。
全身麻酔なんて初めてだからだ。
全身麻酔の手術が決まった時、それを話すと経験者達は嬉々として色んな情報を教えてくれた。
「泥沼の底なし沼に沈んでいくが如く下へ下へと落ちていく感じだよ。まるで地獄まで落ちるようにね」
「うちのおばあちゃんが全身麻酔した時は川の向こうから呼ばれる声を聞いたって言ってたよ」
「めまいがして前後不覚になるんだ」
まあ、どれもこれもロクな情報じゃない。
きっとからかわれているんだろうと思いながらも、未知のことだから、冗談だと言い切れないところが辛い。
そして僕はビビリだ。
ムーを買って宇宙人の話や幽霊の話を読んでは、読んだことを後悔しながら眠れないほどビビリだ。
昨晩も3~4時間しか眠れなかった。
様々な不安が浮かんでは消える。
意識が落ちていく時ってどんな感じなんだろう?
手術中に無意識に動いてしまって、顕微鏡を使って切除している手術でえらいところを切っちゃったりしないんだろうか?
目が覚めたら堪え難いほどの喉の痛みで、思わず声を出して呻き続けてしまうのではないだろうか?
その結果、傷口がグチャグチャになって声が出なくなっちゃうんではないか?
午前3時半に目が覚めたら、そこからはもう眠れない。
仕方ないのでスマホゲームの妖怪ウォッチぷにぷにをひたすらやる。
緊張感があるのか、ないのか、わからない状態だ。
そして朝6時半。
ついに決断する。
「わらプレで提唱してきたテクニックで緊張を緩和できるのか試してみよう!!」
ビビリの僕は決心が揺らがないうちに、わらプレの原稿にかいて配信し、みんなに宣言してしまう。
そこから先はもう観察者に徹した。
点滴を吊るしたポールを押しながら看護師さんに付き添われ、手術室へ向かう。
「サンダルと眼鏡はお預かりしておきますね。帰りはベッドで移動ですので」
帰りはベッドなのか。
歩いて帰ってくるのかと思ってた。
手術室へ入ると、ベッドに横になるように言われる。
手術室の壁はクリーム色っぽい白だ。
壁はてっきり緑かと思っていた。
昔、小学校の国語の教科書に「色がもたらす効果」みたいな話があって「緑は目の疲れを取る効果がある。だから手術室は緑色」みたいな話を読んだ記憶があったが、勘違いだったのだろうか。
医師が緑の手術着で話しかける。
「心電図の電極をつけたり、足に血栓が出来るのを防ぐためにマッサージ機を巻いたりするので身体を触りますね」
そういえば事前説明でも一番怖いのは血栓が出来ることだと麻酔科の医師が説明していた。
意外とサラッと怖いことを言うもんだ。
いや、サラッと言わないと余計に怖いのか。
松岡修造ばりに熱意を込めて危険性を説明されても怖い。
稲川淳二ばりに情感たっぷりに説明させても怖い。
北朝鮮のアナウンサーばりに高らかに告げられても怖い。
栗原類君ばりにボソッと呟かれても、なお怖い。
結局、サラッと言うのが一番いいのか。
そんなことを考察しながら、なおも観察を続ける。
心電図をつけられると、ドラマでおなじみのピッピッという音が手術室にこだまする。
否が応でも緊張感というか緊迫感が高まる。
と思ったら30秒くらいで音を止めてしまった。
え? 流しっぱなしじゃないの?
まぁ、生死を彷徨うような大事故の手術とかとは違うからかな?
酸素マスクをかけられ深呼吸するように言われる。
これ、酸素マスクがズレてて隙間開きまくりなんだが大丈夫なんだろうか?
足に巻きつけたマッサージが軽くふくらはぎを締め付ける。
とは言ってもエアマッサージャーの半分くらいの力だ。
これは気持ちいいかもしれない、と思ったら、一度きりでやめてしまう。
どういうこと?
あ、もしかしたら動作確認のテストなのかな?
麻酔医のおばあちゃん先生が
「では点滴の中に麻酔を入れますね。少しひんやりしますよ」
3秒後くらいに点滴の針が入っている右腕のあたりに涼しさを感じる。
「酸素マスクにも麻酔を入れますね。ゆっくり深呼吸して下さい」
指示された通りに深呼吸をする。
喉のあたりに少し熱を感じる。
強めの酒を飲んだ時の感覚に近い。
顔面に網目状に火照った感覚を感じる。
あぁ~、これ相当酔っ払った時のヤバいやつだ。
次の瞬間はもう起こされていた。
結局、底なし沼に落ちることもなく、川のほとりで呼ばれることもなく、あっという間に意識が途絶えた。
「意識が落ちる寸前に幽体離脱とか出来ないかな?」
「目覚めたら超能力とか使えるようになってないかな?」
などと夢見ていたが、そういうことは一切なかった。
ベッドのまま病室へと帰ってくる。
喉が痛い。
ま、切られたのだから当たり前か。
どのくらいの痛さかというと、扁桃腺が腫れてるくらいの痛さだ。
熱は出ないけど腫れてるくらいの痛さ。
つまり耐えられないほどではない。
頭も少し重く痛みもある。
しかし行きつけの6席しかない飲み屋さん【オキズキッチン】で泥酔からの二日酔いを繰り返している僕にとっては、まだジャブ程度だ。
イブを飲んだら30分後にはケロリと治っているレベルの頭痛だ。
ただ頭も身体もボーッとはしている。
意識ないくらいの麻酔なんだから当たり前といえば当たり前か。
こんな感じで、「これはどうメルマガに書こう?」「これはどういう意味なんだろう?」などと考えながら観察していたら、あっという間に意識が落ちて手術が終わっていました。
振り返ってみると、さほど緊張もしなかった。
【今日の結論】
わらプレの観察者テクニックは、手術の緊張をほぐすのにも効果あり!!
色んな意味でホッとしました。
これからも自信を持って、皆さんと色んなコツを共有していけそうです。
どうでもいい長文におつきあい下さり、ありがとうございました(笑)