お見舞い客の話(わらプレvol.160)
おはようございます、桑山です。
今日はパルテノン多摩で公演です。
日常会話はほぼ平気になったものの、舞台での本域の発生はまだお医者さんから禁止されているため、ほぼ(というか全く)セリフを喋らない状態での出演です。
なんかギャラ泥棒のようで、かなり気が引けます。
今日は入院中にお見舞いに来て下さった皆さんについて、書きたいと思います。
声帯の手術後1週間は声を発してはいけないため、入院中のお見舞いはご遠慮頂いておりました。
だって、お見舞いに来たら、やっぱり気を遣っちゃうじゃないですか。
もしかしたら、つい声を出してしまうかもしれない。
多分、一言二言声を出してしまったところで、大したことにはならないのだと思いますが、ビビリの僕としてはやっぱり怖い。
一応、商売道具だしね。
そんな訳で一律にお断りしていたのですが、3組の方がお見舞いに来て下さいました。
トップバッターは先輩の山本天心さん。
手術後だと話せないだろうから、と手術前日に来て下さいました。
入院当日、しかも翌日が全身麻酔の手術ということで不安いっぱいだったのですが、他愛もない話によって、僕の不安をものの見事に緩和して下さいました。
さすが、気遣いの人。
翌日の手術を挟み、一気に沈黙生活。
「声を出しちゃいけない」という緊張が意外にもかなりのストレスになります。
大部屋だったのでカーテンで仕切られた個人スペースで気を紛らわせるためFacebookやメルマガに集中します。
すると看護師さんがカーテンの外から
「桑山さ~ん!!」
と声をかけます。
反射的に「は~い!!」と返事してしまい、「あ!!」
まさか身近に寄り添ってくれる看護師さんから、こんなトラップを仕掛けられるとは……。
もっとも看護師さんも無言で個人スペースに入るわけにはいかないので声をかけることになっているのでしょうが。
これに教訓を得た僕は、昼間眠くなったら迷わず寝ることにしました。
寝言も心配でしたが、もうそこまで気にしたら何も出来なくなる。
さすがに起きていてブービートラップに引っかかるよりかは確率が低いだろうとの判断です。
手術後2日目のうとうとと寝ていた夕方近く。
2組目のお見舞いが来ました。
妻と息子のコジローです。
うとうと昼寝をしていた僕がふと目を覚ますと、ベッド脇に妻とコジローが座り、じっとこっちを見つめている。
これ、地味に焦ります(笑)
え? 何? 何?
ん?
あ、妻とコジローか……
「あ、なんだ。コジローか。びっくりした。来てたんだ」
そこまで喋って「あっ!!!」
コジローにとっては、5年前にガンで亡くなったおじいちゃん以来の入院風景。
当時、コジローは3歳だったので半分くらいよくわかっていませんでした。
ところが今度は小学3年生。
目にする入院風景がとても新鮮に映ったのでしょう。
「ねぇ、あれ、なんて書いてあるの?」
「これは何をするためのもの?」
「これ、どういう意味?」
「どんな食事が出るの?」
「美味しい?」
「食べ終わった食器はどうするの?」
マシンガンのごとく質問責め。
いちいちホワイドボードに書いて説明するんだけど、これが面倒くらいったらありゃしない。
面倒臭くなって、つい喋ってしまいそう……。
筆談ホステスをマヂで尊敬する一幕でした。
ようやく帰る二人を見送り、ベッドに戻ってくるとカーテンの外から看護師さんが
「桑山さ~ん!!」
しみじみ思いました。
身近に寄り添ってくれる人ほどトラップを仕掛けてくる、と。
そして、最大の山場は退院前日にやって来ました。
そう!!
あの人がやって来たのです!!
そのトラップぶりたるや看護師さんや家族の比ではありませんでした。
いやトラップですらありません。
確信犯。
確信犯で、かつ愉快犯。
今日は長くなってしまったので続きはまた明日。
お楽しみに♪