アナウンサーを鵜呑みにするな!!(わらプレvol.138)
おはようございます、桑山です。
昨晩、ホテルの部屋でまたも指先をザックリ切ってしまいました。
カッターで。
左手の薬指の指先を結構、深く切ってしまっていて、朝になってもまだ血が滲んでいる状態。
おっちょこちょいというか、不注意というか……困ったもんです。
昨日一日を振り返ると、世間的には「羽生結弦さん金メダル」「藤井聡太君、最年少記録で六段昇段」が1位・2位のニュースでしょうが、僕の中では「薬指ザックリ事件」が1位になってしまいました。
何の話をしているかといえば、昨日の話の続きです。
アナウンサーの方が書いた「話し方本」「伝え方本」の中には、必ずといっていいほど「発声」が出てきます。
これは何故かと言うと著者が「アナウンサー」だからです。
アナウンサーはテレビ局に入社時に徹底的に発声と滑舌を叩き込まれます。
本当に洒落にならないくらい鍛えられるそうです。
そしてアナウンサーの方は自らを「伝える人」だと自負しています。
「伝えることの基礎=発声と滑舌」という構図が本人の中に出来上がっています。
僕の薬指ザックリ事件と同様、アナウンサーの中では「発声・滑舌」が苦労した分だけ、重要度が上位に刷り込まれてしまっています。
でも、ここで一旦立ち止まって考えてみて下さい。
確かにアナウンサーは「伝える人」です。
でも、それはジャーナリストとして、「正確な情報」を、「不特定多数の人」に、「聞き取りやすく」伝える人です。
それに対して我々がプレゼンをする時に「伝える」というのは、どういうことでしょう?
一見、正確な情報を聞き取りやすく伝えるのと違いがないように思えます。
では、質問を変えましょう。
【正確な情報を、聞き取りやすく話せば、そのプレゼンは成功するでしょうか?】
言わんとしていることが、なんとなくわかったでしょうか?
たとえば、校長先生の朝礼の話。
たとえば、営業会議での課長の話。
たとえば、大学教授の授業。
たとえば、卒業式での来賓の挨拶。
どれも極端に聞き取り辛い人ばかりではないはずです。
そして、皆さん、決して間違ったことは言っていないはずです。
でも、眠いっ!!!
そして、退屈っ!!!!
違いますか?
眠くて、退屈なプレゼンやスピーチは成功どころか、大失敗ですよね?
それもそのはず。
アナウンサーというのは「固定されたテレビカメラに向かって」「正確な情報」を「一定のスピード」で「聞き取りやすく」伝える仕事だからです。
逆に情感たっぷりに殺人事件や交通事故を伝えられても、こちらが戸惑ってしまいます。
色んな事件やニュースを語らなければいけないので、ニュートラルさが求められるのです。
さらに言うと、アナウンサーは数々の制約を受けています。
・目線はカメラに固定
・歩き回ったり、極端に大きな仕草はしない
・一定のスピードで話す
・原稿を一字一句、正確に読む
この制約の中で仕事をしている人が、話し方を伝えようとすれば、どうしても「緊張のほぐし方」と「発声・滑舌などの話法のテクニック」にならざるを得ないのです。
語弊を恐れずに言えば、これらの制約は我々一般人がプレゼンする時には「やってはいけないこと」ばかりです。
・目線は話を聞いている人全体に行き渡るように配るのが望ましい
・退屈させないために仕草(ノンバーバルコミュニケーション)を効果的に使う
・話のスピードに緩急をつけて変化を演出する
・一度話してみて理解出来ていない様なら、改めて、違う言葉や例え話を使って言い換える
では、まとめてみましょう。
【今日の結論】
・アナウンサーの方は、特殊な状況下で仕事をしている。
・それを念頭においた上で、ワンクッション挟んで「伝え方本」を読む必要がある。
・アナウンサー的な喋りと、他人の関心を惹いたり心を動かせる喋りは別物。
・プレゼンに必要とされるのは、むしろ、関心を惹いたり、心を動かせる喋りの方。
次回はメルマガをお休みしていた1ヶ月の間に僕が何をしていたかをお話ししますね。