あなたは正しくフォーカス出来ていますか?(わらプレvol.152)
こんばんは、桑山です。
昨日は2人の患者さんのお話をしました。
1人は文句ばかり言っている肺炎の患者さん。
もう1人は努めて朗らかで笑顔でいようとする長期入院の患者さん。
早く治る可能性があるとすれば、どちらの患者さんでしょうか?
僕は長期入院の患者さんじゃないかと思います。
きっと多くの人がそう考えたんではないでしょうか?
では、その理由とは?
今日は僕が思った正解から言いましょう。
それは「未来志向と過去志向」の違いです。
どういうことかというと、
・肺炎さんは「過去に上手くいってないから、今度も上手くいくはずがない」と考え、今まで上手くいっていたパターン(アダチ先生)に回帰しよう(すがりつこう)としている。
・長期入院さんは「この方法では上手くいかなかったが、次のは上手くいくかもしれないからチャレンジしてみる価値はある」と考えている。
ここから、どのような行動が起こるかというと、
肺炎さんは「ほら、上手くいかなかった。俺の言ったとおりでしょ?」という証拠探しを始めます。
つまり「上手くいかない要素」をかき集めようとします。
そこから担当医や担当看護師への不信は募っていきます。
不信感があるので、言われたことをあまり守ろうとしません。
医療者が提示した治療法・対処法を守らないのですから、本当に重大な誤診があった場合以外は、症状は悪化するばかりです。
この症状の悪化すらも肺炎さんは「ほらね」の材料として証拠にしてしまいます。
こうやって悪循環の暗示を自分自身でかけていくことになるのです。
一方、長期入院さんの考え方は真逆です。
「今まで上手くいかなかった」と「次もうまくいかない」の間に因果関係がない事を知っています。
言ってみれば、エジソンの考え方と似ています。
「1万回失敗したのではない。1万通りの上手くいかない方法を発見したのだ」
今回失敗したからと言って、次回もそうとは限らない。
こう考えると、余裕が出てきます。
希望と言い換えてもいいかもしれません。
そうすると肺炎さんとは対極の「上手くいくかもしれない可能性」の欠片を探し集めるようになります。
自然に笑顔も増えますし、先生や看護師さんへの信頼(期待感)も増し、出来る事は言われた通り片っ端から試してみようという気持ちになります。
この行動が「絶対に快方に向かっている」という暗示を強める結果となります。
つまり「どこにフォーカスしているか?(何に焦点を合わせて注目しているか?)」ということですね。
「病は気から」とは、良く言ったもので、心と身体は密接に関連しています。
ストレスから体調を崩したり、テンションが上がって一時的にでも病状が回復したり……ってありますよね?
当然、自然とプラスの方向の材料にフォーカスしている長期入院さんの方が早く回復する可能性が高いということです。
さて、ここでもう1回、肺炎さんと長期入院さんの考え方を整理してみましょう。
長期入院さんの考え方は「上手くいって完治している未来」が念頭にあります。
その未来が起点となって現在があります。
未来志向ですね。
一方、肺炎さんの考え方は「上手くいかなかった過去」が念頭にあります
その過去があり、現在がある。さらにその延長線上に未来があります。
過去志向ですね。
例え話をしてみましょう。
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過去1週間に渡り、雨が降っていました。
今日も雨が降っています。
だから、今後ずっと雨が降り続きます。
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この考え方が変なのは一目瞭然だと思います。
でも、哀しいかな。
僕らは油断すると、すぐにこの過去志向に引っ張られます。
たとえば、「人前で話すとき」。
今まで、人前で話したときに必ずといって失敗したり緊張したりしてしまった。
だから、今度も失敗してしまうんじゃないか?
こう『勝手に』考えて、自分に呪縛をかけ、自ら緊張する方向に誘導しているのです。
だから不安になったら、一度、立ち止まって疑って下さい。
【その因果関係は、本物なのか?】
1週間も雨が降っていたから、明日の朝も地面は濡れている。
この因果関係は本物でしょう。
1週間も雨が降っていたから、明日も明後日も雨だろう。
この因果関係は、因果関係としては偽物です。そうであるとは、言い切れない。
だから今回は上手くいくかもしれない。
だってほら、前回とは「ここが違う」「ここも違う」と希望の証拠集めをしましょう。
追伸
ちなみに桑山は保険会社時代、企業に潜在リスクの説明をしていた時に
「今までそんな事故は起きたことがないから、今後も起きるはずがない。だから、そんな無駄な保険はいらない」
と社長に突っぱねられ、
「では、今まで死んだことがないから、今後も死ぬはずがないんですか?」
と問い返し、大激怒されました。
う~~~~ん、ダメサラリーマン!!!