ラーメン二郎を週に10回食べていた頃の話(わらプレvol.71)
昨日は月に1回のラーメンカードを使い、四谷三丁目にある「がんこ一条流総本店」に行ってきました。
ご存じない方のために言っておくと、僕は健康診断の数値が悪かった時期があり、妻から「ラーメン禁止令」を出されたことがあります。
あの時は辛かった。
1日3食ラーメンでも、軽く10年は生きていけると豪語してましたし、それは今でもそう思ってます。
当時は街を歩くと、ラーメン屋さんの看板が向こうからガンガン目に飛び込んでくる感じでした。
そして次の年の健康診断の結果、数値が改善しました。
僕の話を聞いたお医者さんは「この数値なら毎週1回ラーメンを食べても全然問題ないよ。お医者さんがそう言ってたよと言って構わないよ」と嬉しい言葉。
よっぽど苦しそうな表情をして話したんでしょうね。
不憫で仕方がないという様子で言いました。
喜び勇んで帰宅して、妻にこの通りに告げると……
渋い顔をして「じゃあ月に1回ならいいよ」と。
えぇぇぇ~~~、週に1回じゃなく?
そんな訳で今も月一ラーメンが続いているのです。
それこそ昔はほぼ毎食ラーメン食べいました。
前回話題に出た「武田鉄矢の週刊鉄学」に出させて頂いていた頃は、あの山盛り高カロリーで有名な「ラーメン二郎」を週に10回くらい食べていました。
ある時、ザ・ニュースペーパーの土谷さんをビックリさせてやろうと思い、ラーメン二郎に案内しました。
あの山盛り化学調味料満載だけど、食べ終わった瞬間に妙な達成感のあるラーメン二郎。
そのラーメン二郎を食べ終わった時に土谷さんが言った感想は……(続きは最後)
(本日のあらすじ)
・「週刊鉄学」に出ていた頃は何をどのタイミングでコメントすればいいのか、わからなかった
・自分の立ち位置を把握することがポジショニング
・ポジショニングを築くと楽に話が出来て、しかもブレずに伝わる
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ラーメン二郎を1週間に10回食べていた頃、僕はCS朝日ニュースターという朝日新聞社系(当時)のCS放送で「武田鉄矢の週刊鉄学」という番組にレギュラーコメンテイターとして出演させて頂いてました。
毎週、武田さんが興味を持ったニュースについて専門家の方をゲストにお招きして色んなお話をお聞きする番組でした。
今から10年近く前の話です。
「ヒゲの隊長」で現在は国会議員の佐藤正久さんをお迎えして、イラクのことを聞きつつ「戦車にもウインカーやシートベルトがあるんだよ」という話を聞いたり。
その後、尾木ママとして一躍知名度を上げた尾木直樹さんをお迎えして、モンスターペアレンツのことを聞いたり(当時はようやく言われ始めた頃だった)。
痛くない注射針を考案し、町工場から世界を驚かせた岡野雅行さんに手の甲にいきなり注射針を刺されたり……と色んな体験をしました。
そして、この出演者が凄いんです。
まずは、その週の話題についての専門家の方。
メインMCは、金八先生の語り口そのままに達人の話芸を持つ、武田鉄矢さん。
アシンスタントは、聡明な美女であり主婦、現在は「ひるおび!」のコメンテイターとしても活躍している、伊藤聡子さん。
コメンテイターとして東大大学院教授の松原隆一郎さん。この方は経済学や中国文化大革命など歴史にも詳しく、かと思えば若者の漫画などもガンガン読んでいる超オールラウンダーです。当時「聖☆おにいさん」という漫画を僕に教えてくれたのは、この先生です。
それに加えて僕な訳ですよ。
どう考えてもいらないでしょ、僕?
最初は「自分は芸人枠」だと思っているので「なにか面白いことを言わなければ」と、毎回、胃がもたれるほどの緊張感でした。
いや、もしかしたら胃がもたれていたのはラーメン二郎のせいかもしれないけど……(笑)
「何て言おう?」
「どんなことを言ったら面白いだろう?」
事前に考えて行こうにも、メールで来るお知らせは「収録日と時間」「収録するテーマ(題名)」「ゲストの方の名前と著書」のみです。
著書を読もうと思っても、読むのが遅い僕は2割ほど読んだところで収録が来ちゃいます(しかも本が難しかったりするんですよ)。
さらに追い討ちをかけるのが、収録前の打ち合わせ。
1時間の番組の打ち合わせが5分。
資料はA4の紙1枚のみ。
要は「出たトコ勝負」なわけですよ。
それでも、みんな出来ちゃう。
専門家の方が「自分が伝えたいこと」を言う。
松原先生が学術的見地から「補足」や「裏づけ」、さらに「質問」などをする。
伊藤さんが「女性という立場」や「主婦の目線」から感じたことをコメントする。
武田さんが豊富な知識とユーモアに富んだ話題で転がしていく。
どう考えてもいらないでしょ、僕?
実際、喋るきっかけを探りながら、ふとモニターを見ると、僕の隣で切られて4ショットになっていることがよくありました。
「ヤバイ。このまま喋らなければ、僕はこの場にいなかったことになる!!」
でも、どの立ち位置で喋っていいのかわからない。
ある時、話が高度過ぎて全くついていけない時がありました。
それで思わず口から出てしまった言葉があるんですね。
「すみません。何の話をしているのか、全然わかりません。それ、何ですか?」
収録が終わった時、「話を遮りやがって!!」と出演者や番組プロデューサーから怒られるのを覚悟していました。
ところが、意外や意外。
逆に褒められたんです。
「桑山君、ありがとう。話の展開上、ゲストさんとの関係で、もう後戻りが出来なかったんだ。でも、あのままだと番組を見ている人にも全くわからない話になっていた」
その時、自分の立ち位置が見つかった気がしました。
「僕はスタジオに呼ばれた『視聴者代表』だ」
それからは楽でした。
わからないことは「わからない」
疑問に思ったことは「なんでそうなるんですか? 普通に考えたら、こうでしょ?」
芸人枠から解き放たれたんです。
元々常に面白いことを連発できるほど面白芸人ではないわけですから(笑)
この立ち位置のこと、マーケティングの世界では「ポジショニング」と言うそうです。
何かの専門家として話すと、話がブレませんし、話す内容が伝わりやすい。
なにより話している側が楽に話せます。
ここまで書いていて、今ふと気付いたんですが、明石家さんまさんがやっているテレビ番組「ホンマでっか!?TV」でも、「○○評論家」と肩書きがついてますよね?
なかには「かなり無理やりな評論家の肩書き」もあったりします。
でも、あの肩書きは必要なんです。
あれこそがポジショニングなんです。
さて、あなたが人前で話す時にどんな肩書きをつけるといいでしょう?
先生?
講師?
主任?
グループリーダー?
ここで勘違いしてはいけないのは、僕が「視聴者代表」であったように、「社会的肩書き=ポジショニング」ではないということです。
今日は長くなってしまったので、ここまで。
次回は、このポジショニングについてもう少し詳しく、一緒に考えたいと思います。
次回までに考えてみてください。
あなたは一体、「何の専門家」ですか?」
あなたの立ち位置を説明するのに「適切な言葉」「適切な肩書き」は何ですか?
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土谷さんにラーメン二郎を食べてもらって出た感想は……
「これ、ラーメンじゃなくてエサですね!!」
土谷さんの中では、僕のポジショニングは「ラーメン好き」ではなく「悪食家」になったようです。