ウルトラマン&ぷりきゅあ(わらプレvol.174)
お久しぶりです。桑山です。
本公演の後半から書いている余裕がなくなり、本公演終了後には別のプロジェクトも動き出したのでご無沙汰になってしまいました。
動き出した別のプロジェクトというのは、ついに僕が生まれて初めて出演した映画が映画館で上映されるのです!!
9/29(土)~10/12(金) 21:00~22:35 渋谷ユーロスペースにて
映画の情報をまとめようと、生まれて初めて、簡易型とはいえホームページもどきを自分で作りました。
(業者さんに作って頂いたホームページの情報更新はやっていたのですが、自分で作るのは初めてです)
このメルマガ、IT会社の社長さんやら、有名IT企業の幹部も読んでいるのでちょっと恥ずかしい気はしますが、逆にこの手作り感を懐かしんで下さい。
http://kuwayamagen.web.fc2.com/
では、しばらく中断していた本題。
何回かに分けて「プロットのテンプレート化」という話をしているのですが、軽快にストーリーが進むという点では、今回のテンプレートが一番です。
「ウルトラマンorぷりきゅあプロット」
何故、軽快なのかといえば構造がとてもシンプルだからです。
早速、ストーリーを分解してみましょう。
1.敵があわられる
2.闘いを挑むがピンチになる
3.必殺技を使い、逆転勝利
はい、これだけです。
実際の番組は30分もたせるために、闘いの様子を詳細に描いたり、ピンチの状況での心理描写や周囲の反応など色々と要素は加わりますが、骨組みはこれだけです。
では、さっそく「桑山がニュースペーパーに入ったいきさつ」に当てはめてみましょう。
1.関西に転勤になった僕は慣れない土地柄、慣れない仕事に苦労していました。
今までやっていた仕事は運用の仕事、今度は保険の営業です。
同じ金融とはいえ、全然違う仕事で知識もほぼイチから学び直さなければいけない状態でした。
とはいえ、転勤になった時には入社4年目。同期は中堅として立派な戦力になっている。
そんな中、僕は学ぶ暇もなく駆けずり回り、知識がないので契約が取れず、契約が取れないので会社に戻ってきてからも別室でたっぷり2時間嫌味を言われて罵られる、そしてまた時間が無くなる……の悪循環。
段々と「僕の人生はこれでいいんだろうか?」「ここが僕のいる場所なんだろうか?」と考えるようになっていた。
2.意を決して会社を辞めた。
「ここは僕の居場所ではない」と思って辞めたわけではない。
自分でもわかっていた。ただの現実逃避だと。
それまで割と頻繁に連絡を取っていた同期からもほとんど連絡はなくなった。
後で聞いたら知らないうちに僕が辞めていて連絡の取りようがない人も多かったそうだ。
しかし当時の僕はそうは思えなかった。
会社も友達も知り合いも、自信もプライドも自尊心も未来すらも全てを失ったような気がしていた。
なかばヤケになって芸能の世界に入った。
だが入るのが遅すぎた。養成所でもクラスメート達より10歳くらい年上。キャピキャピの若者の中におっさん一人という感じだった。
何かを始めるのに遅すぎることはない。
そんな言葉がよく言われるが嘘だと思った。どの劇団を受けても門前払いだった。
今なら理由はよくわかる。年上の後輩ってかなり面倒くさいからだ。
それを跳ねのけて余りあればいいのだろうが、そんな素質は僕にはない。
ならば同じスキルなら、面倒くさい年上を合格させるより、真っ白な若者を合格させるってわけだ。
どうすればいいんだ……。不合格を重ねながら、また漠然とした不安に圧し潰されそうになっていた。
3.未来が見えないまま養成所に6年もいた。
もう33歳になっていた。
劇団に所属している人でさえ「30歳になったけど生活できる見込みが立たないから足を洗う」と言われる中、僕は予選のスタートラインにも立っていない状態でズルズル続けていた。
僕より芝居の上手い人、僕より断然素質のある人が次々に辞めていった。
僕は一生バイト暮らしを覚悟していた。ネットカフェ難民に出来ればなりたくないけど……。そんな感じだった。
そんな時、養成所の仲間が劇団を起こしたいので脚本を書いてくれと頼まれた。
書ける自信はなかったが、必死に取り組んだ。
これが意外に面白い。
そうか、僕は小さい頃、本を読むのが大好きだった。
自分でお話を作るのが大好きだった。
それを思い出した。
その原点に帰ってからは、何かがつながるような気がした。
ピンチが訪れても、「これはどんな場面に活かせるかな?」と考えられるようになった。
すると不思議なことに色々とチャンスが回ってきた。
その一つが通っていた朗読教室からザ・ニュースペーパーを紹介されたことだ。
ダメ元で自分でアポを取り、当時の社長に面接してもらった。
話を作ることやブラックユーモアが好きなこと。
受かる受からないは関係なく、自分を等身大のまま語った。
結局、何が良かったのかはわからないが、僕はザ・ニュースペーパーの見習いになることが出来た。
ここでも年上の後輩として入ったがために色々と嫌な目にも遭った。
スランプになったこともあるし、干されたこともある。
渦中にいる時はなかなかわからないものだが、少し渦が弱まった時に原点回帰できる瞬間がある。
そして僕は思い出す。そうだ、お話を作るのが好きだったんだ、と。
それを大切にしていたら、やがて憧れていた「最後のニュースのコーナー」を任せてもらえることになった。
この前の本公演にはたくさんの知り合いが来てくれた。
中学の時の友達、大学の時の同級生や後輩、会社の同期、養成所時代の友達……。
みんなが笑顔で僕が舞台に立っていることを喜んでくれた。
「くわは幸せだな」
僕はその言葉を今までを振り返りながら聞いていた。
「うん。幸せだ」
そう答えた。社交辞令でもなく本心だった。
「お話を作るのが好き」という原点に回帰できたのもラッキーだったし、それが自分にとっての必殺技だと気づけたこともラッキーだった。
そのチャンスを作ってくれた友達、凹んだ時に支えてくれた友人、僕を認めてくれたメンバー。
全てがラッキーだと思えた。
もしかしたら以前なら「くわは幸せだな」なんて言われたら「お前に何がわかる」なんて思っていたかもしれない。
でも、今はそうは思わなかった。
少しだけ大人になれたのかな、と思った。
なるべく簡潔に書こうとしたのですが、ちょっと長くなっちゃいましたね。
お気づきでしょうか?
このプロットの特徴。
このプロットを使うと何が強調されると思います?
そう、「成長」なんです。
バトルものは主人公が成長していく事がメインテーマですよね。
他のプロットでもその要素はあるのですが、これはシンプルなだけに成長を強調しやすいんです。
それでは、次回は3つのプロットをザックリまとめて、
「プロットを使えばプレゼンだけでなく、人生まで少し楽になる」
という話をして、このシリーズを終わりたいと思います。
次こそは「お久しぶりです」で始まらないように頑張ります(笑)
……フリじゃないですよ?