落ち着きのない大人が 手あたり次第にチャレンジします!!

サンタさんは来ましたか?(わらプレvol.22)

2020/03/30
 
この記事を書いている人 - WRITER -
桑山 元
社会風刺コント集団「ザ・ニュースペーパー」に所属しています。 お笑い芸人の傍ら、「わかりやすい伝え方」を極めるべく、セールスライター、スピーチライター、講師、ライトノベル執筆に挑戦中! 最近は「遅ればせながら」御朱印集めにハマりつつあります。

メリー・クリスマス♪
皆さんのもとにはサンタさんは来ましたか?

それでは今朝は予告どおり、クリスマス特別バージョンをお届けします。
15年くらい前に声優養成所のナレーション課題として「忘れえぬ光景」というお題が出された時に書いた文章です。

題して「我が家のサンタ事情」

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サンタクロースの真相は、突然何の前触れもなく、やってきた。

幼稚園の年長組の時、習いたてのひらがなでレゴブロックが欲しいとサンタさんに手紙を書いた。
何回も何回もお母さんの所へ行って、一文字ずつ教わり一生懸命に書いた。書き上がった手紙を見て、ふといい事を思いついた。
いつもの様に靴下を置いといたら、ブロックはちょっとしかもらえない。
ブロックが少ないと大したものは作れない。
そうだ! 最近よく幼稚園に履いていくタイツを置いておこう。

早速お母さんにタイツを出してもらい枕元に飾ると、いつもよりちょっと早めに布団に入った。
ほら、だっていい子にしてないと、サンタさん、来てくれないじゃない。僕は作戦が成功するかどうかドキドキしながら、眠たくないのにギュッとめをつぶっていた。

翌朝、目を覚ました僕の枕元にはタイツからはみ出したレゴブロックのでっかい箱が置いてあった。
タイツの足の部分には、お菓子がいっぱい詰まっている。
もう大喜びで家中を走り回り、お父さんにもお母さんにも、ちょっと自慢げに見せびらかした。
そういや、お父さんに見せた時、ちょっと照れ臭そうな苦笑いをしてたっけ。

それからも毎年、僕の枕元にはサンタさんからのプレゼントが届いた。今思うと、そんなにいい子じゃなかった年にも、ちゃんと届いた。
周りの友達は「サンタなんかいない」とか「サンタは本当は父ちゃんなんだぜ」なんて言ってたけど、僕は「この人達、一体何を言ってるんだろう」って思ってた。

そして中学一年生の時。クリスマスシーズンになると必ず入ってくる、おもちゃ屋さんの大きなチラシを眺めながら、どれにしようかと真剣に悩んでいた。
隣でタバコをふかしながらお父さんが見ている。

しばらくして、お父さんはタバコの煙を吐き出しながら言った。
「で、今年は何が欲しいんだ?」
何言ってんだろう。お父さん、今までクリスマスプレゼントなんて、一度もくれた事なかったじゃん。
「お前ももう本当にサンタクロースがいるって信じてるわけじゃないんだろ?」

ショックだった。友達の言ってた事は本当だった。サンタクロースなんて、いなかったんだ。
呆然としながらチラシのおもちゃを指差すと、お父さんはふーんと言って、新聞を持ってトイレに入って行った。

それから何年かは枕元にお父さんからのプレゼントが届いた。高校生になると、それもなくなった。
でも別に何とも思わなかった。それよりも、子供の夢を無残に打ち砕いたことに、高校生になっても大学生になっても、ちょっと恨んでいた。

そして去年。ちょっと調べものがあって午前4時過ぎまでインターネットをしていると、いきなり部屋の戸が開いた。部屋の戸を開けたのはお父さんだった。
普段めったに二階へ上がって来ないお父さんが、何故こんな時間に僕の部屋へ……。
一瞬の沈黙の後、お父さんはちょっとつまらなそうに「なんだ、まだ起きてたのか」って言うと、赤い長靴にお菓子がいっぱい詰まったプレゼントをポンと僕の布団の上に投げ、そそくさと部屋の戸を閉めた。

しばらくしてから何が起こったのかをやっと理解できた僕は、お父さんのあまりのくだらなさに呆れてしまった。
まさか三十過ぎてサンタを目撃するとは思わなかった。
でも何だかとてもあったかい気持ちになった。

僕はこの家に生まれてよかった。そりゃあんまり裕福じゃないし、お母さんは暇さえあればずっと喋ってるし、お父さんもザビエルみたいな髪型になっちゃったけど、それでもこの家の子でよかった。
僕は年甲斐もなく、その赤い長靴を枕元に飾って、ちょっとワクワクしながら布団に入った。

今年はお母さんのところにだけ、赤い長靴が届いた。きっと僕も弟もあまりいい子じゃなかったんだろう。ちょっとショック。

最近、糖尿病で悩んでいるお父さんのために、来年は健康茶を一ダース、そっとお父さんの枕元に置いておこうと思う。

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その父が亡くなって今年で丸三年が経ちました。
亡くなったのも、ちょうど12月でした。

今年は命日にお墓参りに行けませんでしたが、お正月に実家に帰ったときには初詣と共にお墓参りにも行ってこようと思います。

まさに「盆と正月が一緒に来たような感じ」ですが……。

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桑山 元
社会風刺コント集団「ザ・ニュースペーパー」に所属しています。 お笑い芸人の傍ら、「わかりやすい伝え方」を極めるべく、セールスライター、スピーチライター、講師、ライトノベル執筆に挑戦中! 最近は「遅ればせながら」御朱印集めにハマりつつあります。

Comment

  1. アバター そよ風 より:

    なんとも言えない気持ちになりました。サイコーですね(#^.^#)素敵なお父さん(^o^)

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