落ち着きのない大人が 手あたり次第にチャレンジします!!

良い意味で牡蠣にあたる(わらプレvol.77)

2020/04/11
 
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社会風刺コント集団「ザ・ニュースペーパー」に所属しています。 お笑い芸人の傍ら、「わかりやすい伝え方」を極めるべく、セールスライター、スピーチライター、講師、ライトノベル執筆に挑戦中! 最近は「遅ればせながら」御朱印集めにハマりつつあります。

おはようございます、桑山元です。
「おはようございます」というより「お久しぶりです」の方かな?
気付けば3日間もメルマガを発行してませんでした。反省。

さて、そのメルマガをお休みしていた最大の原因ともいうべき「3/4のお笑いライブ」ですが、おかげさまで大盛況に終わりました。
昼の公演、夜の公演共に満員でした。
また僕が悪夢まで見るほど緊張し追い詰められていた「例のネタ」も、ほぼノーミスでクリアすることが出来、お客様からだけでなく、企画・脚本・演出の松下アキラ先輩からも珍しくお褒めの言葉を頂きました。

「あの難しい台本のネタをよくやり切った。くわがニュースペーパーに入ってから初めて頑張ってくれたから、とても嬉しい!!」

……この14年間、結構、頑張ってきたっつーの!!

どんなネタだったのかというと、演歌歌手とインタビュアーの会話です。
新曲のキャンペーンで番組を訪れた演歌歌手が「フェンシングのことなら何でも訊いて下さい」と言う。
しかも彼はフェンシングをやったこともないし、やるつもりもないし、知識も全くない。
でも「フェンシングのことなら何でも訊いて下さい」と言い、インタビュアーも延々とフェンシングのことについて質問する。

何が一番難しかったかというと「会話が流れていない」、つまり「台本がストーリーになっていない」のです。
そりゃそうです。
お互いフェンシングに興味も知識もないもの同士が延々と手探りで訊き、手探りで答えるんですから。

その他にも面白いネタが満載でしたが、未だに印象に残っているのはオープニングトーク。
アキラさんが新しくニュースペーパーに入った新人2人に向かって「もっと自分を印象付けるキャッチコピーを考えろ」と言う。
「他のメンバーは全員キャッチコピーがあって、ホームページにも載ってるんだぞ!!」←ウソです。そんなコピーはありませんし、ホームページにも載ってません。

そこでアキラさんが発表した自分のキャッチコピーとは……?
そして僕につけられているキャッチコピーとは……?(続きは最後)

(今回のあらすじ)
・緊張時でもいつもの力を出すためにはアンカリングが有効
・アンカリングとは、条件付けでメンタルをコントロールするもの
・原理としては条件反射やトラウマによるフラッシュバックも同じ

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フェンシングのネタですが、僕にとっては本当に難しいものでした。
実際、本番の直前に行うゲネ(本番同様に行うリハーサル)でも、次の質問(台詞)がわからなくなり頭が真っ白で中断する場面が2箇所もありました。
ギリギリのところでやっていたので、稽古場から本番の会場へと「風景」や「雰囲気」が変わったり、ネタの最中に「脇の楽屋で誰かがお喋りしてる」のが気になった瞬間に、意識のほんの数パーセントが持っていかれるだけで、頭の中の積み木が一斉に崩れだすといった感じでした。
こんな調子では、本番中にお客さんが笑ったり、逆に笑うと思っていたところで笑いが起きなかったりするだけで、台詞が飛ぶなと思い恐怖しました。

打てる手は全て打ちました。
お客さんが客席に入っているところをイメージしながら、舞台上で独りでブツブツ台詞を返したり。
客席に座って自分が演じているところをイメージして(一つ一つの台詞も明確にイメージして)、お客さん目線で見てみたり。

そして本番直前では、いつもやっているアンカリングを使いました。
結果、ほぼノーミスでクリア出来ました。
「ほぼ」というのは、自分でイメージしていた台詞のタイミングよりコンマ何秒か遅れてしまった箇所が2箇所あったというレベルなので、おそらくお客さんにはわからなかったでしょう。

で今回は、さっきチラッと出てきた「アンンカリング」について説明したいと思います。
僕は『超緊張しぃ』なので、普段のザ・ニュースペーパーの公演でも、このアンカリングは頻繁に使っています。

アンカリングとは「ある心理状態を作り出すために、きっかけとなる動作を行うこと」です。
今だと「ルーティン」と言った方が皆さんにはわかりやすいかもしれません。
そう、あのラグビーの五郎丸選手やメジャーリーグのイチロー選手が行っている「必ずやる独特のポーズ」のことです。

あれ、知らない人から見ると「おまじない」みたいに見えるかもしれませんが、もっと心理学や脳科学的に根拠のある動作なんです。
と言っても、動作自体には、さほど意味はありません。
「決まった(あるいは自分で決めた)一連の動作を毎回やること」に意味があるのです。

有名な心理学の実験で「パブロフの犬」という実験がありますが、ご存知ですか?
犬にエサをあげる時に、ベルを鳴らしてエサをあげ続けると、そのうちベルの音を聞いただけで、その犬はヨダレを出す。
そういう実験です。一般には「条件反射」として知られています。

これ、よく考えて下さい。
ベルの音とヨダレには直接的な因果関係は全くないんです。
別にベルの音が脳の食欲を司る神経を刺激している訳でもありませんし、ベルの音自体が美味しいわけでもありません。
エサを食べている時にベルが鳴っていた→エサは美味しい→美味しいものを食べているとヨダレが出る。
この一連のセットを繰り返すことによって、ベルの音→ヨダレというショートカットが起きているのです。

たとえば身近な人にこんな人はいませんか?

・何かの匂いを嗅ぐと、理由はわからないがトイレに行きたくなる

・バスの匂いを嗅ぐと、乗り物酔いをしてしまう

・一度牡蠣にあたってから、二度と牡蠣が食べられなくなった

・朝起きたら、テレビをつける→歯磨きをする→着替えるの順番でないと何か気持ち悪い

これらも基本的には「パブロフの犬」と同じことが起こっています。

脳の基本的な特徴として「脳は現実と想像の区別が出来ない」「脳の記憶はインパクト×回数で決まる」といったものがあります。
例えば無意識レベルに落とし込む「習慣」や「癖」も、「インパクト×回数」で決まってきます。
大きなインパクトであれば、たった1回で脳に刻み込まれることもありますし、逆にインパクトは小さくても継続して続ければ「習慣化」します。

例をあげましょう。

牡蠣にあたって死にそうな思いをしたとします。
その時の辛い思いはあまりにもインパクトが大きいので、たった1回でも脳に刻み込まれます。
次に牡蠣を食べようとした時に、「牡蠣→のたうちまわった経験」がショートカットされています。
さらに都合の悪いことに、脳は現実と想像の区別がつかないので、「また身体が拒絶反応を示して苦しむんじゃないかな」と思うと、高確率でそうなります。

トラウマによるフラッシュバックも、同様の原理です。

赤い軽自動車に自分の子どもを目の前で轢かれて半狂乱になった母親がいたとします。
彼女が、赤い軽自動車を見たときに過呼吸を引き起こしパニックに陥るフラッシュバックが起きてしまうのも同じ仕組みです。
本来は赤い軽自動車とパニック発症に因果関係はないのですが、インパクトが大き過ぎたために「赤い軽自動車」がパニックを起すトリガー(引き金)になってしまっているのです。

では、これらの特徴を逆に良い方向で利用することは出来ないのでしょうか?

出来ます。それがアンカリングです。

落ち着いた気分の時に、自分で決めた「ある動作」を繰り返すことによって、今度は「ある動作→落ち着いた気分」の逆の流れのショートカットが作れるわけです。
動作自体にインパクトはありませんので、回数の方を増やすことで脳に条件付けを覚えこませていきます。
結果的に「特定の動作」を行うことによって「落ち着いた気分」「集中力を高めた状態」という一種のトランス状態(変性意識状態)を条件付けるのです。

かなり長くなってしまったので、今日はここまで。
次回は「具体的なアンカリングの作り方や例」についてお話したいなと思います。

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アキラさんが自分につけたキャッチコピーは「ガラス細工のマッチョ」でした。
アキラさんって、筋肉モリモリでボディービル大会のシニアの部で千葉県で優勝したくらいの筋肉なんです。
でも、めっちゃメンタルが弱くて、すぐに落ち込みますし、拗ねます。
ま、それだけ繊細だから人間観察の力も秀でてるし、とんでもない台本を書けたり、演技できたりするんでしょうけどね。

その、誰よりも他人の気持ちがわかる人間観察の達人・松下アキラが僕につけたキャッチコピーは、「高学歴、低スペック」でした。
どういうこと???

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